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五感生活 二十四節気「小雪」


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目 次 


〔五感の二十四節気〕*************

「小雪」

**********************
山から雪の便り。
真っ白な街の風景が、テレビ画面に映し出されています。
東京も冷え込み始めて、朝は3度台。
一気に冬へと突入ですね。
二十四節気の「小雪」という言葉が、ピタリの日々。
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沙羅双樹と椿。
「祗園精舎の鐘の声 諸行無常の響きあり 沙羅双樹の花の色 盛者 必滅の 理をあらはす」という平家物語に出てくる、あの葉っぱの色づきです。
東京に雪が舞うのはまだしばらく先かもしれない。
今は今だけの景色が、都会の住宅地でもたくさん目撃できて、面白い。
オクラがお蔵入り。
と、つい駄洒落を言いたくなる景色が、身近にありました。
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実にシュールな風景。
 近所の畑のシルエット。
これ、何なのか。
目を凝らすとわかった。
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ストロボをたいて撮影すれば、一目瞭然です。
オクラでした。
 
すでに収穫を終えた畑では、こんな風情があるのでした。でも、オクラがこんな風にできるなんて、知らなかった人も多いのでは?
そして、こんな風に、晩秋の景色を彩ってくれているなんて。
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こちらは、黒ダイコンです。
食べる前に、あまりにも美しいので、
ぱちり。
写真を撮りました。
スライスすると、清々しいまっ白な中味が。
ざらりとしった質感の黒い皮と、絶妙なコントラスト。
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カエデも紅葉し始めています。が、じいっと見ると、実にさまざまな色づき具合。
先の方だけ、色づいた葉が、またステキ。
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   565.JPGでも、同じカエデの葉っぱでも、こんな風なのもありました。
        そしてこんな感じもいいですね。
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気がつけば世界は複雑に美しい。
しかし、気づかなければ、何もない。
外はますます寒くなっていく、
そして心は温かく。
それが理想。

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五感生活 二十四節気「立冬」



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目 次 


〔五感の二十四節気〕*************

「立冬」

**********************
いよいよ立冬ですね。
とはいえ、まだ東京は、秋色に包まれています。
二十四節気は、一足先に、これから来る季節を
教えてくれます。
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光が通り抜けて、キラキラと輝いている。
見上げると、イチョウの葉っぱが高いところで黄色く色づき、太陽の光を通過させているのです。
葉っぱを通して、光が抜けてくる。
イチョウの葉っぱが、こうも光を通すとはこれまで気付きませんでした。
繊細な薄さをもっているからこそ、光が透過するのでしょう。
もう少し秋が進み、朝晩の冷え込みで落葉してしまったら……この景色も消えてなくなる。
瞬間の輝きに、目が吸い寄せられる。
秋一色。
のようでいて、それだけではありません。
夏の名残を、ひとつだけ見つけたのです。
黄色の中にただひとつ、黒い点。
じいっと見つめていると……それが何なのかがわかりました。
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イチョウの葉にしがみつく、セミの抜け殻です。
季節の残り香。
夏にしがみつく、痕跡。
行ってしまう季節を、名残惜しく振り返る誰かの背中、のようにも見えました。
………自分かな?
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五感生活 二十四節気「霜降」



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目 次 


〔五感の二十四節気〕*************

「霜降」

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その公園は、狭くて地味で暗い。何もない。
引っ越してきた時の第一印象。
華やかさがない。「花」が咲かない。
あるのは草と木だけで、じめじめしている。
うっそうと茂っている木々は、暗がりを作り出すだけで役に立たない。
何の木かわからない。何のテーマもない。
そう感じました。
しばらくして気付いたこと。
タクシーの運転手の人が、しばしば車を止めています。公園の中にあるトイレで用を済ますためでした。

「トイレ休憩のための小公園」。
この公園、私には最初、そんな風にしか見えなかったのです。

テレビで「なんでも鑑定団」を見ていた時のこと。
画面には、大きくて立派な彫刻が映し出されていました。
有名な作家の作品だというのです。
「300万円はするはずです」
と持参した人が自信ありげに言いました。
テレビを眺めていた私は、その時ふと、もっと凄い彫刻がすぐ隣にあると感じました。
突然、雷に打たれたような気分になってしまいました。

テレビの脇に置いた花入れ。I371.JPG
十三夜を迎える秋の時期、隣の公園から何気なくとってきて、花瓶に差した枝と葉、2つの実。
その形は、「彫刻そのもの」ではないか。
気付いたのです。
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「何もない」というのは、私の頭の中のことだったのです。
気付くと、公園の姿はまったく違うものになっていきました。
季節の移ろいの中で、その「移ろい」を見せてくれる場所でした。
365日。すべてがある場所でした。

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五感生活 二十四節気「秋分」


●五感生活 二十四節気「秋分」


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目 次 


〔五感の二十四節気〕**********

「秋分」

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あっという間に、月を愛でる季節になりましたが、

今年の夏を振り返れば、猛暑のさなかは、京都の庭の中。

ご厚意をいただき、実に貴重な体験をすることになりました。

京都南禅寺界隈に残された別天地-「對龍山荘庭園」を五感で味わうことになったのです。

 


對龍山荘.jpg



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まるで船の上にいるようですが、実は建物が池の中へと張り出して水を体感できるよう設計されています。琵琶湖疏水が庭の中へと引き込まれ、数寄屋建築と庭と東山の景色が一体化しているのです。



對龍山荘とは……東山の麓にあり別荘群の中の一つ。比叡山まで連なる山の稜線が、くっきりと見えています。

明治期から昭和期、政財界人がこぞって建てた別荘。その中でも、對龍山荘は傑作。

作庭は、屋号「植治」こと七代目小川治兵衛。昭和63年に国の名勝に指定されたこともあって、建物も庭も往時の姿をよく留めています。



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 水の音は石の位置によって調節できると、植彌加藤造園・加藤武史さん。毎日のように

庭師が手入れを続けている。だからこそ、景観はイキイキと輝く。借景も庭と溶けあう。




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谷崎潤一郎も逗留したというこの建物。まさしく陰影礼賛の場。茶室は、景色を美しく切り取る装置にもなっています。

 躙り口から見る庭は、緑の色が鮮烈。

 畳に跳ね返る外光は、陰影の美しさを際立たせる。

 





對龍山荘の図.jpg

 

「20世紀から21世紀へという転換の本質は、建築が終わって、庭が始まったことである」(『熱帯建築家』)と語るのは、木を活用した新国立競技場を設計するなど世界の建築界をリードする隈研吾氏。今後の建築やまちは「環境に寄り添い、まち全体が庭っぽくなっていく」と言います。



 「庭の時代」。ちょっとわかりにくいけれど、その意味するところは、私の個人的解釈としては、モノを買うことから場・空間を楽しむことへの変換、ではないかなと思うのです。

對龍山荘はその意味で、「庭の時代」の価値をじっくり味わうことができる貴重な空間です。詳しくは、日経電子版に執筆した下記記事をご参照ください。


「五感で味わう京都・對龍山荘 名匠・植治の庭を歩く」https://style.nikkei.com/article/DGXMZO21310610Q7A920C1000000?channel=DF130120166059

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五感生活 二十四節気「清明」

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目 次             
●五感生活 二十四節気「清明
」 

〔五感の二十四節気〕**********

「清明」

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いよいよ春爛漫。ソメイヨシノが散り、葉桜に。

二十四節気は「清明」。光は清く明るくと言いたいところですが、

すでに東京は汗が噴き出す、28度という暑さ。

八重桜の満開の時期、あらためて放送中のドラマについてお伝えしたいのです。

「火花」。芥川賞受賞で有名な、あのベストセラーのドラマ化。

瑞々しい世界、切ない気持ち。

これを見ないなんて、もったいない。

春の時期放送されているドラマの中でも、一押しです。

番組公式HPより

テレビのスイッチを切った後も余韻は続く。

心の奥の何かを、たしかに揺さぶられている。若い時に置き忘れてきた、大切な何かを。

時代も場所も超えて、多くの視聴者の心を揺さぶる「青春のカタチ」。

ドラマ『火花』(NHK日曜午後11時 制作Netflix)が、いきいきと描き出している。


原作は、又吉直樹氏の第153回芥川龍之介賞受賞作、あの大ベストセラー小説。
ところが、NHKで放送が始まると初回の視聴率は何と4.8%。第3話は1.5%に低下し、いわば数字的にはどん底状態。「声が小さくて聞き取れない」「物語の展開が遅い」「退屈」と酷評も聞かれる。

しかし、このドラマは傑作に違いない。私はそう断言したい。

そもそも視聴率の数字なんて作品の質を直接表すものではないけれど、このドラマの魅力が多くの人に伝わらないとすれば残念で仕方ない。



『火花』のストーリーは……若手お笑い芸人の徳永(林遣都)が主人公。天才肌の先輩芸人・神谷(波岡一喜)に惚れ込んで弟子になり、神谷の言葉を逐一記憶・記録していく。ライブを追いかけ行動を共にし、理想の芸人とは何なのか、表現とは何なのかを問い続け……。

青春のみずみずしさと滑稽さが、同時に浮かび上がってきます。

無垢な魂と、居場所のない浮遊感。大都会の中での、焦りととまどい。

一話たった50分弱という短い時間なのに、気付けば『火花』の世界に引きずり込まれ主人公たちと一緒の空気を呼吸している──そんな錯覚を覚えてしまう。

 

それくらい役者陣が素晴らしい。林遣都、波岡一喜、好井まさお、門脇麦……演技の大胆さ、細やかさ、迫力にはひれ伏したくなります。

 

ただし演技が素晴らしいだけでは、このみずみずしい世界を伝えきれない。

無垢な魂のロードムービーを表現するためには、独特な映像の工夫──長回し、町のロケの多用、映像にしかできない表現の追求が、必要だった。



【1】無垢な魂が途切れないための「長回し」

 

カット割は通常より少なく、カメラを回し続けて撮っていく「長回しの技法」を活用している。

 カット割が少ない、ということは役者やスタッフ側の緊張感はいやでも高まる。長回しで撮影するためには、すべてのセリフ、段取り等を頭に入れて準備しなければ、成り立たないからです。

 ライブな雰囲気、切実さと緊張感、場の空気感、役者の躍動感といったものが鮮やかに立ち上る。このドラマのみずみずしさと、長回しという映像手法は響きあっています

 【2】街角のロケーション多用は、居場所探しの不安と響き合う

井の頭公園のベンチ、吉祥寺のアーケード、高円寺の駅前広場、新宿の高速バス乗り場。看板も隠さず特徴的な建物や屋根、街角の個性をはっきりと映し出す。だから、中央線沿線出身の私としては、一瞬にして場所を特定できる。あああそこだ、と。

 東京の街がそのまま、ドラマの中に露出してくる。大都市に上京してきた若者たちのリアルな感覚が伝わってくる。都会の勢いに呑まれそうになりながらも街の熱に惹かれ、何とか居場所を見つけようとしつつ、居場所の無い不安に包まれる。

 夢を追いかける青春像を描き出すための舞台装置として、東京の街のロケはどうしても必要だった。そう感じさせてくれるのです。

【3】映像にしかできないことを求めて

太鼓叩きが音を出す。神谷の手が反応する。また太鼓の音が響く。口が動く。自然発生的に、セッションが生まれていく。言葉にはならない「ノリ」「速度」「間合い」が、実にスリリングに伝わってくる。

 あるいは、深夜の町を延々と歩いていくシーン。ネオンを脇に、疾走する青年。かぶさる路上ライブの音。文字で伝える以上に、映像が物語ることがある。

 夢を諦めていった人たち。辞めていった芸人たち。途中で挫折した人たち。若い時に人生と格闘したことがある人たち。ドラマ『火花』は全ての無垢な魂にむけた、みずみずしい応援歌です。

 NHK総合、『ダウントンアビー』後続の枠で放送されていることも幸運と言っていい。CMによって断絶されない分、視ている側の「夢も覚めないで持続する」効果がある。

 0回連続の『火花』に、2時間程の通常の長さの映画で実現できなかった「独特の娯楽世界」と「視る至福」を感じっているのは、果たして私だけでしょうか?

(初出「NEWSポスセブン」2017.3.22)


五感生活 二十四節気「立春」

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●五感生活 二十四節気「立春
」 

●五感の情報交差点

〔五感の二十四節気〕**********

「立春」 

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大雪のニュースが届き、空気はピンと張って、

強い北風に凍え、まだまだ春は遠いと思っていたら……

光は輝きを増し、確実に明るくなってきていますね。

春を呼び込むような、鮮やかな色彩・柄を持つ、個性的な布地の展示に遭遇しました。

メイセンと聞いても、ピンとこない人は多いかもしれない。しかし、漢字で書いてみたら?

「銘仙」。

あれね、あの布のことね、という人はぐっと増えるはず。

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銘仙は、着物地の名称の一つです。

明治後期から大正・昭和にかけて生まれ、爆発的な人気を集め「日本中の女性達の関心を惹いた」と言っても過言ではない、そんな織物でした。

銘仙がそれほど日本中を席巻したのには、理由があります。

従来の着物には見られなかった、実に斬新な柄や色使い。平面的でモダンな構成、大胆な幾何学アール・デコ調の文様、巨大な花の柄。その新鮮さ、インパクトの強さに、女たちのハートは射貫かれたのでした。

「大正十一年の震災後、江戸文化を一掃し再起しようとした東京は新都としての面目からも流行を意識的に主導していったのである。地方織物であった銘仙が、欧州のシネ絣の技法を応用して、斬新なアール・デコの意匠を着物の世界に導入した」
(『織りと染めの歴史 日本編』昭和堂)

それまでの着物といえば、生地に絵を描いたり、細かい文様を型で染めたり。凹凸を織り出して表現したりしていました。

しかし、銘仙に使われているのは、糸への「プリント」技術です。

「ほぐし織り」と呼ばれる技法。まず、経糸(たていと)に型染めをして、それをほぐして織り上げていくため、大胆な大柄を表現することが可能になりました。

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その分、経糸の本数が多く、目が1,000本もあるため「目千」→めいせん。

「銘仙」という文字は音の響きからの当て字、だそうです。

当時、世界中で流行っていたアールデコ、機能美を追求したモダニズム・スタイルは、この「ほぐし織」の技術によって日本の中に深く根を下ろしていったのです。

さらに近代化の流れの中で機械による大量生産とあいまって、価格が安くなり隅々の消費者まで行きわたっていきました。

「(銘仙は)全国に広まって高級呉服を圧倒し、関西の呉服市場が銘仙意匠を倣(なら)う有様であった」(前同書)というから、その勢いが想像できます。

銘仙の代表的な産地は、関東エリアの伊勢崎、秩父、足利、八王子、桐生の5つでした。

しかし、今では足利と秩父に細々と残るだけ。

銘仙の火を消してはいけない。危機感を抱いた人々が一歩を踏み出しました。

「STYLE*MEISEN スタイル*メイセン」プロジェクトは、衰退しつつある「銘仙」を着物地から解放し、現代の新鮮なファッションとしてよみがえらせる試みです。

足利、秩父のガチャマンラボ株式会社、逸見織物、寺内織物株式会社、有限会社碓井捺染、鶴貝捺染工業有限会社が連携して、ファッションブランド「matohu (まとふ)」にクリエーションを託しました。

プロデューサーを務める岡田茂樹氏は言います。

「今回の展示では、完成した服やストールをお見せするだけではなく、型染めした糸や、ほぐし織りの『目千』といわれれる繊細な構造がわかるように工夫しました。糸をプリントして織る図柄は現代の服との相性も抜群です。ぜひ時代性とストーリーもあわせて、現代の銘仙を味わっていただければ嬉しいです」

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「STYLE*MEISEN」が提案する服の素材は、絹100%だけではありません。綿と絹とを織りあげたシャツやジャケットなどもあります。現代の生活の中で実用的に、自在に着こなせるよう配慮されています。

地方創生の一つの挑戦としても、非常に興味深い展示です。

21日までの開催ですが、会場はミドルの女性たちを中心に日に日に来訪者が増え、賑わっています。中にはすでに消えてしまった伊勢崎銘仙を懐かしがる方もいるようです。

日本の伝統の中で育まれてきたテキスタイルに、これだけ関心が集まるのは、
そのオリジナリテイ、独自の風合い、質感、手仕事、歴史性といったキータームが深く静かに人々の共感を呼んでいる証しかもしれません。


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第731回デザインギャラリー1953企画展「STYLE MEISEN」
http://www.style-meisen.com/
2月21日(火)まで開催中。
場所  松屋銀座7階デザインギャラリー1953
主催 日本デザインコミッティー
共催 経済産業省関東経済産業局


五感の歳時記二十四節気「小寒」

五感生活二十四節気「大寒」

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目 次             
●五感生活 二十四節気「小寒
」 

●五感の情報交差点

〔五感の二十四節気〕**********

「小寒」 

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 あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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2017年、新たな年の幕開け。清々しい春の陽の中で、身も心もリフレッシュ。

禅の言葉に、「二念を継がない」というフレーズがあります。

人はついつい、余計なことを考えてしまいがち。言葉が言葉(二念)を呼び、考えなくてもいいことを考えて悩む。「あの人はなぜこんなことを言ったのか」、「どうしてこんな結果になったのか」と。

もちろん、冷静に過去を分析し次に活かすことは大事でしょう。しかし、考えても無意味なことをぐるぐる考え雑念を膨らませるのは消耗以外の何ものでもない。



今年こそ禅の教えに従って、いらないストレスや心配ごとに心が占拠される状態を脱したいもの!

そのためにも「言葉」からひととき離れ、頭の中を真っ白にする時間を持ちたい。目の前にある形や色、ただ見えたものを見えたままに受け取り味わう。それがアート鑑賞の醍醐味です。

見回せば、身近なところに世界的な水準の素晴らしいアートがズラリ。ということで、今年一見の価値ありの展覧会をピックアップ。

まずは年明け早々、芸術的な白い肌を鑑賞したい方は……。 

●「レオナール・フジタとモデルたち」展  

 

19世紀後半のヨーロッパにおいて日本人で最も成功したと言われる芸術家、そして生誕130年を迎えたレオナール・フジタ/藤田嗣治(1886-1968)。

数あるその作品の中から、モデルと画家の関係をたどりつつ鑑賞するこの展覧会。妻をモデルにすることも多かった藤田ですが、5回も結婚しただけに見応えは十分。『レオナール・フジタとモデルたち』展ポスタービジュアル

藤田といえば、まず浮かぶのが裸婦の絵。



「ルーベンスは脂肪を、ルノワールは血を、ピカソは人間の構造を描いた。だから自分は、まだ誰も描いていない『肌』を描こうと思った」(府中市美術館学芸員・音ゆみ子)と語るだけに、藤田作品は「乳白色の女性の肌」が特徴的。

ですがこの展覧会では「男の裸」も実に印象的に迫ってくるのです。


展覧会では、ド迫力の作品に出会うことができる。長い間行方不明になっていた数奇な運命の群像画-《ライオンのいる構図》《犬のいる構図》《争闘 I》《争闘 II》。

何層にも重なった筋肉の盛り上がりと曲線、躍動する身体の美しさ。巨大な壁画一杯に埋め尽くされた裸体。藤田の関心は女だけでなく男の肉体にも向かっていたのでした。



1992年にパリ郊外の倉庫で発見され、大修復されてお目見え。ちなみにフランスでは「歴史的建造物」、日本でいう国宝に指定されている貴重な作品。

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……と作品も素晴らしいけれど、DIC川村記念美術館はヨーロッパの古城を連想させる建物と広大な庭園とが溶け合った異空間。東京ドームが6つも入るスケールです。散策すればまるで「一日ヨーロッパ」。非日常に浸りたい方にオススメ。

 千葉県佐倉市 DIC川村記念美術館 (1 15 日まで)
http://kawamura-museum.dic.co.jp/



 

●「クラーナハ展―500年後の誘惑」



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こちらも美しく透明な肌に魅惑的な表情の女たちの絵が並んでいます。時代はさらに遡り、500年前のドイツ・ルネサンスを代表する人気芸術家・クラーナハ(1472-1553年)の作品がズラリ。

実は、日本で初めての展覧会。ウィーン美術史美術館の特別協力によって100点近い大規模に。おそらく二度とは実現できない充実ぶりです。

一見すると、高貴な人々の豪華な肖像画。そして物語に出てくる美しいヒロインたち。
しかし、「特異というほかないエロティシズム」(公式HP)が漂う。

切り取った生首。下半身の上に視線を誘うような透ける布。醸しだされる「エロとグロ」の気配。

国立西洋美術館「クラーナハ展」時空を超えたエロティシズム - 日本初の大回顧展 写真7

見ても見ても、見飽きない細部。金属のネックレス、光るガラス、刺繍にビロード、ふくよかな肌。筆一つで違う質感を描き分ける超絶技巧、ゾクゾクしながら鑑賞できる。

大きな工房を構えて職人を使い、絵を量産した優秀なビジネスマンでもあったクラーナハ。商売の才覚に優れていたからこそ、「どうしたら人の関心をかきたてることができるか」「目を惹きつけるか」といった「誘惑的方法」を編み出せたのかもしれません。


上野・国立西洋美術館(115日まで)。大阪・国立国際美術館(128日〜 416日)
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2016cranach.html

日本人だもの、やっぱり日本美術でしょう」という方は……

●「岩佐又兵衛と源氏絵 <古典>への挑戦」 


岩佐又兵衛は、「江戸初期の生命力と退廃美をきわめた絵師」(美術評論家・辻惟雄)。天才絵師の名にふさわしい見事な筆さばき。イキイキとした輪郭線。上気した頬が妙に生々しくふっくらとしていて、「退廃美」という指摘も納得です。

又兵衛は数奇な運命の人でした。父は戦国武将、織田信長の家臣・荒木村重。信長に重用されていた村重ですが、突然反逆を企てた。怒った信長は、荒木一族を処刑してしまう。

母を殺された数え年2歳の又兵衛は、寺に預けられ波乱の絵師人生が幕を開けます。



その又兵衛が生涯にわたって描き続けた画題の一つが「源氏絵」。平安貴族を描いた絵の中に、又兵衛ゆえの巧さと雅び、そしてなんとも生々しい質感が。「優雅にして野卑」(公式HP)な魅力を発見できそう。

東京・丸の内 出光美術館   18日〜25)
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html


そし
て桜の舞う春にも見逃せない大展覧会が待っています。国宝級の茶道具がずらり勢揃い。

●「茶の湯」展

タイトルは実にあっさりしていますが、中身はド級。足利義政、織田信長ら天下人ゆかりの茶碗、千利休が愛した名碗、国宝の茶碗の数々。

まさに「名碗オールスターズ」と呼ぶにふさわしいきらびやかな舞台。1980年に東京国立博物館で開催された「茶の美術」展以来、なんと37年ぶりの大展示。この貴重な機会、見逃してなるものか。                 


東京国立博物館 (411日~64日)

http://chanoyu2017.jp/

                  (NEWSポストセブン2017.1.2執筆コラムより)




五感生活二十四節気「小寒1」

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●五感生活 二十四節気「小寒
」 

●五感の情報交差点

〔五感の二十四節気〕**********

「小寒」 

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今年もお世話になりました。

一年のうちに気付かずについてしまった汚れ、過ち、さまざまな禍根をきれいに祓っていただきました。

12月31日、富岡八幡宮にて。

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大祓式   宮司さんの祓の詞と一緒に、参拝者たちも詞を唱えます。

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切麻(きりぬさ) これで身体を清めます。
左、右、左と身体に振りかけます。
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来年もよい年になりますよう。みなさまにご多幸がありますように。

富岡八幡宮では、金色の鳳凰たちが羽ばたいていました。

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五感の歳時記二十四節気「小雪」

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●五感生活 二十四節気「小雪
」 

●五感の情報交差点

〔五感の二十四節気〕**********

「小雪」 

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 二十四節気が「小雪」になったからといって、11月に雪が降るとは。東京では54年ぶり、空から白いものが舞っています。

さて、秋も深まる先週、

関東は茨城県鹿島アントラーズも本拠地とする鹿島にある、鹿島神宮へ取材に参りました。

日本建国・武道の神様である「武甕槌大神」が御祭神。神武天皇元年創建の由緒ある神社です。

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菊祭りも開催されていましたが、私がこの目で見たかったのは、別のもの。

「石」です。この写真の中央、ちょっとくぼみのある丸い石。

ただの石ではありません。P1050986.JPG 

これぞ、鯰の頭を抑えていると古くから伝えられている「要石」。

地中にいる鯰が、大きな地震を起こすと信じられています。その鯰を押さえて、地震が起こらないようにする石なのです。 

「水戸の徳川光圀公がどこまで深く埋まっているか確かめようと
7日7晩にわたって掘らせたものの、
いつまで経っても辿り着くことができなかったばかりか、怪我人が続出したために掘ることを諦めた、という話が黄門仁徳録に記されています。」(鹿島神宮のサイト)

この地上部分はほんの一部であり、体が地中深くまで伸び、尾は隣の県・千葉県香取市の香取神宮までつながっているという伝説が。

いったいどんな巨大サイズ?

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 鹿島神宮で、巨大鯰の頭を押さえているのだとすれば、その尾っぽを押さえている石も見ないと。
 ということで、千葉県香取神宮に足を伸ばしてみました。
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香取神宮の美しい社殿。
 

こちらは、香取神宮の要石です。

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鯰の絵のお守り。

参道に、鯰料理屋がありました。

その素材は、日本のマナマズではなく、キャットフィッシュということですが、

昔からこの地域で鯰が食されてきたことを伝えている風景ですね。 07.JPG03.JPG

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2016年をふりかえれば、真っ赤。

オバマ大統領広島方訪問に、カープの優勝。

偶然ですが、私も。 

PHP新書より拙著新刊が出ました。

「広島大学は世界トップ100に入れるのか」

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PHP新書1059<br> 広島大学は世界トップ100に入れるのか

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山下柚実 (やましたゆみ) 作家/五感生活研究所代表

東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。身体と社会との関わりに関心を持ち、
美容整形エイズ問題、五感などをテーマに取材。『ショーン横たわるエイズ・アクティビスト』で、第一回小学館ノンフィクション大賞優秀賞。
著書に、『五感生活術』(文春新書)、『<五感>再生へ』(岩波書店)、『都市の遺伝子』(NTT出版)、『給食の味はなぜ懐かしいのか?』(中公新書ラクレ)、『客はアートでやってくる』(東洋経済新報社)、『年中行事を五感で味わう』(岩波ジュニア新書)、『五感で楽しむまちづくり』(共著・学陽書房)他多数。
ウエブ上では、コラムを多数執筆。
「五感」をキーワードにした講演や教育人材研修、ワークショップなども手がける。
元放送大学非常勤講師、元環境省「感覚環境のまちづくり」検討委員、江戸川区景観審議会委員。

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五感の歳時記二十四節気「霜降」

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目 次             
●五感生活 二十四節気「霜降
」 

●五感の情報交差点

〔五感の二十四節気〕**********

「霜降」 

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そろそろ霜降。霧が降り、葉っぱが少しずつ紅葉し始める頃。

季節はどんどん、変化していきますね。

秋色が深くなるその前に……

まるで中世にタイムトリップしたような感覚を味わうことができる独特な茶庭を、

ぜひご紹介したいと思います。その名は「雲幽園」。またの名を「安楽庵」と言います。

三重県専修寺の中にある廻遊式のお庭。

お寺がある一身田の町は、全国的にも珍しく、寺内町の環濠が残っている町です。

寺内町というのは室町時代、真宗などの仏教寺院、商家などで形成された自立的・自治的集落のこと。

周囲を濠や土塁で囲まれていたのは、攻撃されても簡単には浸食されない防衛的な意味合いもあったとか。

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専修寺の中、濠が昔のままの風情で、残っています。

今の治水は水際をコンクリートなどで固めてしまいますが、このお寺の中で見る環濠はとても自然でなごむ。

日本画の中にある、土坡という描き方の様式・技法を思い起こさせる。

土坡は小高く盛り上がった地面の こと。

なだらかなカーブ。地面の起伏を表す柔らかなイメージが、お庭全体の雰囲気を作っています。

ここが中世のように感じる理由。

土坡に苔、そして竹藪、ゆるやかな曲線、しずけさ。

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いよいよここからが、お茶の世界。雀のお宿を訪ねる感じ。P1050154.JPG

門をくぐってしばらく行くと、大きな短冊状の石橋が。

二枚組み合わさっています。

そして釣瓶井戸。

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潜戸があり、内露地が始まります。
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待合も山居の中の雰囲気。
前には池と、茂る木々。州浜は石組みを使わず、自然のまま。
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いよいよ安楽庵のにじり口。
屋根は茅葺き。
踏み石の左手には、刀掛け。
武士の刀を預かる、昔はたいへん大きな役割のあった二重の棚。
今では単なる装飾になってしまったり、
気がつかないでお茶室に入ってしまったり。
でも、この安楽庵の刀掛けは、
とても存在感がありました
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正面から見ると、にじり口の上に窓が。
他の席と違って特殊な景観を見せているその理由について、重森三玲さんはこう書いています。
「躙口の上には、出廂を深く作ってあります……
深い躙口を、更に深く見せていますのは、一本の柱を入れて、
中央よりやや高く引木を入れて白壁として、下を吹抜としたことによって、この辺の景が明るくもありますが、同時によく見られますし、変化に富む構成が出たのです」
「この席の刀掛は、躙口の上の木連子窓と並べてありますために、非常に引き立って見られるのです。角になった白壁の空間が豊かですから、この刀掛はいっそうゆったりとした空間の中に大きな変化と調和を保っています」 (『茶室と庭』)
 
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 現代とは別世界のようなこの場所でのお茶会に、いつか参加してみたいものです
お茶室のみならず、アプローチの小道、曲がると見えてくる別の風景、ふわふわの苔、古い灯籠。
船着き場があったり、中之島があったり。
いくつもの違う仕掛けが、組み合わさってひとつの庭を造り出しています。
その変化に富んだ風景、遊び心、こめられた想い。
この庵の名前は、実は千利休の長男・道安と織田有楽斎からとって「安楽庵」。
茶室は畳が二畳半で、ウロコ板という板が半畳入って三畳だそうです。
席の中央に太鼓張りの襖があり、亭主と客人の間仕切りになっているとのこと。
道安は足が不自由だったので、茶道具を運ばせてから襖を開いてお点前を始めたそうです。
そのためこのお茶室を、道安囲と言うのだとか。
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山下柚実 (やましたゆみ) 作家/五感生活研究所代表

東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。身体と社会との関わりに関心を持ち、
美容整形エイズ問題、五感などをテーマに取材。『ショーン横たわるエイズ・アクティビスト』で、第一回小学館ノンフィクション大賞優秀賞。
著書に、『五感生活術』(文春新書)、『<五感>再生へ』(岩波書店)、『都市の遺伝子』(NTT出版)、『給食の味はなぜ懐かしいのか?』(中公新書ラクレ)、『客はアートでやってくる』(東洋経済新報社)、『年中行事を五感で味わう』(岩波ジュニア新書)、『五感で楽しむまちづくり』(共著・学陽書房)他多数。
ウエブ上では、コラムを多数執筆。
「五感」をキーワードにした講演や教育人材研修、ワークショップなども手がける。
元放送大学非常勤講師、元環境省「感覚環境のまちづくり」検討委員、江戸川区景観審議会委員。

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