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五感生活 二十四節気「清明」

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目 次             
●五感生活 二十四節気「清明
」 

〔五感の二十四節気〕**********

「清明」

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いよいよ春爛漫。ソメイヨシノが散り、葉桜に。

二十四節気は「清明」。光は清く明るくと言いたいところですが、

すでに東京は汗が噴き出す、28度という暑さ。

八重桜の満開の時期、あらためて放送中のドラマについてお伝えしたいのです。

「火花」。芥川賞受賞で有名な、あのベストセラーのドラマ化。

瑞々しい世界、切ない気持ち。

これを見ないなんて、もったいない。

春の時期放送されているドラマの中でも、一押しです。

番組公式HPより

テレビのスイッチを切った後も余韻は続く。

心の奥の何かを、たしかに揺さぶられている。若い時に置き忘れてきた、大切な何かを。

時代も場所も超えて、多くの視聴者の心を揺さぶる「青春のカタチ」。

ドラマ『火花』(NHK日曜午後11時 制作Netflix)が、いきいきと描き出している。


原作は、又吉直樹氏の第153回芥川龍之介賞受賞作、あの大ベストセラー小説。
ところが、NHKで放送が始まると初回の視聴率は何と4.8%。第3話は1.5%に低下し、いわば数字的にはどん底状態。「声が小さくて聞き取れない」「物語の展開が遅い」「退屈」と酷評も聞かれる。

しかし、このドラマは傑作に違いない。私はそう断言したい。

そもそも視聴率の数字なんて作品の質を直接表すものではないけれど、このドラマの魅力が多くの人に伝わらないとすれば残念で仕方ない。



『火花』のストーリーは……若手お笑い芸人の徳永(林遣都)が主人公。天才肌の先輩芸人・神谷(波岡一喜)に惚れ込んで弟子になり、神谷の言葉を逐一記憶・記録していく。ライブを追いかけ行動を共にし、理想の芸人とは何なのか、表現とは何なのかを問い続け……。

青春のみずみずしさと滑稽さが、同時に浮かび上がってきます。

無垢な魂と、居場所のない浮遊感。大都会の中での、焦りととまどい。

一話たった50分弱という短い時間なのに、気付けば『火花』の世界に引きずり込まれ主人公たちと一緒の空気を呼吸している──そんな錯覚を覚えてしまう。

 

それくらい役者陣が素晴らしい。林遣都、波岡一喜、好井まさお、門脇麦……演技の大胆さ、細やかさ、迫力にはひれ伏したくなります。

 

ただし演技が素晴らしいだけでは、このみずみずしい世界を伝えきれない。

無垢な魂のロードムービーを表現するためには、独特な映像の工夫──長回し、町のロケの多用、映像にしかできない表現の追求が、必要だった。



【1】無垢な魂が途切れないための「長回し」

 

カット割は通常より少なく、カメラを回し続けて撮っていく「長回しの技法」を活用している。

 カット割が少ない、ということは役者やスタッフ側の緊張感はいやでも高まる。長回しで撮影するためには、すべてのセリフ、段取り等を頭に入れて準備しなければ、成り立たないからです。

 ライブな雰囲気、切実さと緊張感、場の空気感、役者の躍動感といったものが鮮やかに立ち上る。このドラマのみずみずしさと、長回しという映像手法は響きあっています

 【2】街角のロケーション多用は、居場所探しの不安と響き合う

井の頭公園のベンチ、吉祥寺のアーケード、高円寺の駅前広場、新宿の高速バス乗り場。看板も隠さず特徴的な建物や屋根、街角の個性をはっきりと映し出す。だから、中央線沿線出身の私としては、一瞬にして場所を特定できる。あああそこだ、と。

 東京の街がそのまま、ドラマの中に露出してくる。大都市に上京してきた若者たちのリアルな感覚が伝わってくる。都会の勢いに呑まれそうになりながらも街の熱に惹かれ、何とか居場所を見つけようとしつつ、居場所の無い不安に包まれる。

 夢を追いかける青春像を描き出すための舞台装置として、東京の街のロケはどうしても必要だった。そう感じさせてくれるのです。

【3】映像にしかできないことを求めて

太鼓叩きが音を出す。神谷の手が反応する。また太鼓の音が響く。口が動く。自然発生的に、セッションが生まれていく。言葉にはならない「ノリ」「速度」「間合い」が、実にスリリングに伝わってくる。

 あるいは、深夜の町を延々と歩いていくシーン。ネオンを脇に、疾走する青年。かぶさる路上ライブの音。文字で伝える以上に、映像が物語ることがある。

 夢を諦めていった人たち。辞めていった芸人たち。途中で挫折した人たち。若い時に人生と格闘したことがある人たち。ドラマ『火花』は全ての無垢な魂にむけた、みずみずしい応援歌です。

 NHK総合、『ダウントンアビー』後続の枠で放送されていることも幸運と言っていい。CMによって断絶されない分、視ている側の「夢も覚めないで持続する」効果がある。

 0回連続の『火花』に、2時間程の通常の長さの映画で実現できなかった「独特の娯楽世界」と「視る至福」を感じっているのは、果たして私だけでしょうか?

(初出「NEWSポスセブン」2017.3.22)


五感生活 二十四節気「立春」

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●五感生活 二十四節気「立春
」 

●五感の情報交差点

〔五感の二十四節気〕**********

「立春」 

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大雪のニュースが届き、空気はピンと張って、

強い北風に凍え、まだまだ春は遠いと思っていたら……

光は輝きを増し、確実に明るくなってきていますね。

春を呼び込むような、鮮やかな色彩・柄を持つ、個性的な布地の展示に遭遇しました。

メイセンと聞いても、ピンとこない人は多いかもしれない。しかし、漢字で書いてみたら?

「銘仙」。

あれね、あの布のことね、という人はぐっと増えるはず。

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銘仙は、着物地の名称の一つです。

明治後期から大正・昭和にかけて生まれ、爆発的な人気を集め「日本中の女性達の関心を惹いた」と言っても過言ではない、そんな織物でした。

銘仙がそれほど日本中を席巻したのには、理由があります。

従来の着物には見られなかった、実に斬新な柄や色使い。平面的でモダンな構成、大胆な幾何学アール・デコ調の文様、巨大な花の柄。その新鮮さ、インパクトの強さに、女たちのハートは射貫かれたのでした。

「大正十一年の震災後、江戸文化を一掃し再起しようとした東京は新都としての面目からも流行を意識的に主導していったのである。地方織物であった銘仙が、欧州のシネ絣の技法を応用して、斬新なアール・デコの意匠を着物の世界に導入した」
(『織りと染めの歴史 日本編』昭和堂)

それまでの着物といえば、生地に絵を描いたり、細かい文様を型で染めたり。凹凸を織り出して表現したりしていました。

しかし、銘仙に使われているのは、糸への「プリント」技術です。

「ほぐし織り」と呼ばれる技法。まず、経糸(たていと)に型染めをして、それをほぐして織り上げていくため、大胆な大柄を表現することが可能になりました。

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その分、経糸の本数が多く、目が1,000本もあるため「目千」→めいせん。

「銘仙」という文字は音の響きからの当て字、だそうです。

当時、世界中で流行っていたアールデコ、機能美を追求したモダニズム・スタイルは、この「ほぐし織」の技術によって日本の中に深く根を下ろしていったのです。

さらに近代化の流れの中で機械による大量生産とあいまって、価格が安くなり隅々の消費者まで行きわたっていきました。

「(銘仙は)全国に広まって高級呉服を圧倒し、関西の呉服市場が銘仙意匠を倣(なら)う有様であった」(前同書)というから、その勢いが想像できます。

銘仙の代表的な産地は、関東エリアの伊勢崎、秩父、足利、八王子、桐生の5つでした。

しかし、今では足利と秩父に細々と残るだけ。

銘仙の火を消してはいけない。危機感を抱いた人々が一歩を踏み出しました。

「STYLE*MEISEN スタイル*メイセン」プロジェクトは、衰退しつつある「銘仙」を着物地から解放し、現代の新鮮なファッションとしてよみがえらせる試みです。

足利、秩父のガチャマンラボ株式会社、逸見織物、寺内織物株式会社、有限会社碓井捺染、鶴貝捺染工業有限会社が連携して、ファッションブランド「matohu (まとふ)」にクリエーションを託しました。

プロデューサーを務める岡田茂樹氏は言います。

「今回の展示では、完成した服やストールをお見せするだけではなく、型染めした糸や、ほぐし織りの『目千』といわれれる繊細な構造がわかるように工夫しました。糸をプリントして織る図柄は現代の服との相性も抜群です。ぜひ時代性とストーリーもあわせて、現代の銘仙を味わっていただければ嬉しいです」

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「STYLE*MEISEN」が提案する服の素材は、絹100%だけではありません。綿と絹とを織りあげたシャツやジャケットなどもあります。現代の生活の中で実用的に、自在に着こなせるよう配慮されています。

地方創生の一つの挑戦としても、非常に興味深い展示です。

21日までの開催ですが、会場はミドルの女性たちを中心に日に日に来訪者が増え、賑わっています。中にはすでに消えてしまった伊勢崎銘仙を懐かしがる方もいるようです。

日本の伝統の中で育まれてきたテキスタイルに、これだけ関心が集まるのは、
そのオリジナリテイ、独自の風合い、質感、手仕事、歴史性といったキータームが深く静かに人々の共感を呼んでいる証しかもしれません。


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第731回デザインギャラリー1953企画展「STYLE MEISEN」
http://www.style-meisen.com/
2月21日(火)まで開催中。
場所  松屋銀座7階デザインギャラリー1953
主催 日本デザインコミッティー
共催 経済産業省関東経済産業局


五感の歳時記二十四節気「小寒」

五感生活二十四節気「大寒」

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●五感生活 二十四節気「小寒
」 

●五感の情報交差点

〔五感の二十四節気〕**********

「小寒」 

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 あけましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。

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2017年、新たな年の幕開け。清々しい春の陽の中で、身も心もリフレッシュ

禅の言葉に、「二念を継がない」というフレーズがあります。

人はついつい、余計なことを考えてしまいがち。言葉が言葉(二念)を呼び、考えなくてもいいことを考えて悩む。「あの人はなぜこんなことを言ったのか」、「どうしてこんな結果になったのか」と。

もちろん、冷静に過去を分析し次に活かすことは大事でしょう。しかし、考えても無意味なことをぐるぐる考え雑念を膨らませるのは消耗以外の何ものでもない。



今年こそ禅の教えに従って、いらないストレスや心配ごとに心が占拠される状態を脱したいもの!

そのためにも「言葉」からひととき離れ、頭の中を真っ白にする時間を持ちたい。目の前にある形や色、ただ見えたものを見えたままに受け取り味わう。それがアート鑑賞の醍醐味です。

見回せば、身近なところに世界的な水準の素晴らしいアートがズラリ。ということで、今年一見の価値ありの展覧会をピックアップ。

まずは年明け早々、芸術的な白い肌を鑑賞したい方は……。 

●「レオナール・フジタとモデルたち」展  

 

19世紀後半のヨーロッパにおいて日本人で最も成功したと言われる芸術家、そして生誕130年を迎えたレオナール・フジタ/藤田嗣治(1886-1968)。

数あるその作品の中から、モデルと画家の関係をたどりつつ鑑賞するこの展覧会。妻をモデルにすることも多かった藤田ですが、5回も結婚しただけに見応えは十分。『レオナール・フジタとモデルたち』展ポスタービジュアル

藤田といえば、まず浮かぶのが裸婦の絵。



「ルーベンスは脂肪を、ルノワールは血を、ピカソは人間の構造を描いた。だから自分は、まだ誰も描いていない『肌』を描こうと思った」(府中市美術館学芸員・音ゆみ子)と語るだけに、藤田作品は「乳白色の女性の肌」が特徴的。

ですがこの展覧会では「男の裸」も実に印象的に迫ってくるのです。


展覧会では、ド迫力の作品に出会うことができる。長い間行方不明になっていた数奇な運命の群像画-《ライオンのいる構図》《犬のいる構図》《争闘 I》《争闘 II》。

何層にも重なった筋肉の盛り上がりと曲線、躍動する身体の美しさ。巨大な壁画一杯に埋め尽くされた裸体。藤田の関心は女だけでなく男の肉体にも向かっていたのでした。



1992年にパリ郊外の倉庫で発見され、大修復されてお目見え。ちなみにフランスでは「歴史的建造物」、日本でいう国宝に指定されている貴重な作品。

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……と作品も素晴らしいけれど、DIC川村記念美術館はヨーロッパの古城を連想させる建物と広大な庭園とが溶け合った異空間。東京ドームが6つも入るスケールです。散策すればまるで「一日ヨーロッパ」。非日常に浸りたい方にオススメ。

 千葉県佐倉市 DIC川村記念美術館 (1 15 日まで)
http://kawamura-museum.dic.co.jp/



 

●「クラーナハ展―500年後の誘惑」



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こちらも美しく透明な肌に魅惑的な表情の女たちの絵が並んでいます。時代はさらに遡り、500年前のドイツ・ルネサンスを代表する人気芸術家・クラーナハ(1472-1553年)の作品がズラリ。

実は、日本で初めての展覧会。ウィーン美術史美術館の特別協力によって100点近い大規模に。おそらく二度とは実現できない充実ぶりです。

一見すると、高貴な人々の豪華な肖像画。そして物語に出てくる美しいヒロインたち。
しかし、「特異というほかないエロティシズム」(公式HP)が漂う。

切り取った生首。下半身の上に視線を誘うような透ける布。醸しだされる「エロとグロ」の気配。

国立西洋美術館「クラーナハ展」時空を超えたエロティシズム - 日本初の大回顧展 写真7

見ても見ても、見飽きない細部。金属のネックレス、光るガラス、刺繍にビロード、ふくよかな肌。筆一つで違う質感を描き分ける超絶技巧、ゾクゾクしながら鑑賞できる。

大きな工房を構えて職人を使い、絵を量産した優秀なビジネスマンでもあったクラーナハ。商売の才覚に優れていたからこそ、「どうしたら人の関心をかきたてることができるか」「目を惹きつけるか」といった「誘惑的方法」を編み出せたのかもしれません。


上野・国立西洋美術館(115日まで)。大阪・国立国際美術館(128日〜 416日)
http://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2016cranach.html

日本人だもの、やっぱり日本美術でしょう」という方は……

●「岩佐又兵衛と源氏絵 <古典>への挑戦」 


岩佐又兵衛は、「江戸初期の生命力と退廃美をきわめた絵師」(美術評論家・辻惟雄)。天才絵師の名にふさわしい見事な筆さばき。イキイキとした輪郭線。上気した頬が妙に生々しくふっくらとしていて、「退廃美」という指摘も納得です。

又兵衛は数奇な運命の人でした。父は戦国武将、織田信長の家臣・荒木村重。信長に重用されていた村重ですが、突然反逆を企てた。怒った信長は、荒木一族を処刑してしまう。

母を殺された数え年2歳の又兵衛は、寺に預けられ波乱の絵師人生が幕を開けます。



その又兵衛が生涯にわたって描き続けた画題の一つが「源氏絵」。平安貴族を描いた絵の中に、又兵衛ゆえの巧さと雅び、そしてなんとも生々しい質感が。「優雅にして野卑」(公式HP)な魅力を発見できそう。

東京・丸の内 出光美術館   18日〜25)
http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/present/index.html


そし
て桜の舞う春にも見逃せない大展覧会が待っています。国宝級の茶道具がずらり勢揃い。

●「茶の湯」展

タイトルは実にあっさりしていますが、中身はド級。足利義政、織田信長ら天下人ゆかりの茶碗、千利休が愛した名碗、国宝の茶碗の数々。

まさに「名碗オールスターズ」と呼ぶにふさわしいきらびやかな舞台。1980年に東京国立博物館で開催された「茶の美術」展以来、なんと37年ぶりの大展示。この貴重な機会、見逃してなるものか。                 


東京国立博物館 (411日~64日)

http://chanoyu2017.jp/

                  (NEWSポストセブン2017.1.2執筆コラムより)




五感生活二十四節気「小寒1」

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●五感生活 二十四節気「小寒
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●五感の情報交差点

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「小寒」 

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今年もお世話になりました。

一年のうちに気付かずについてしまった汚れ、過ち、さまざまな禍根をきれいに祓っていただきました。

12月31日、富岡八幡宮にて。

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大祓式   宮司さんの祓の詞と一緒に、参拝者たちも詞を唱えます。

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切麻(きりぬさ) これで身体を清めます。
左、右、左と身体に振りかけます。
御切麻2_0037.JPG

来年もよい年になりますよう。みなさまにご多幸がありますように。

富岡八幡宮では、金色の鳳凰たちが羽ばたいていました。

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五感の歳時記二十四節気「小雪」

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●五感生活 二十四節気「小雪
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「小雪」 

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 二十四節気が「小雪」になったからといって、11月に雪が降るとは。東京では54年ぶり、空から白いものが舞っています。

さて、秋も深まる先週、

関東は茨城県鹿島アントラーズも本拠地とする鹿島にある、鹿島神宮へ取材に参りました。

日本建国・武道の神様である「武甕槌大神」が御祭神。神武天皇元年創建の由緒ある神社です。

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菊祭りも開催されていましたが、私がこの目で見たかったのは、別のもの。

「石」です。この写真の中央、ちょっとくぼみのある丸い石。

ただの石ではありません。P1050986.JPG 

これぞ、鯰の頭を抑えていると古くから伝えられている「要石」。

地中にいる鯰が、大きな地震を起こすと信じられています。その鯰を押さえて、地震が起こらないようにする石なのです。 

「水戸の徳川光圀公がどこまで深く埋まっているか確かめようと
7日7晩にわたって掘らせたものの、
いつまで経っても辿り着くことができなかったばかりか、怪我人が続出したために掘ることを諦めた、という話が黄門仁徳録に記されています。」(鹿島神宮のサイト)

この地上部分はほんの一部であり、体が地中深くまで伸び、尾は隣の県・千葉県香取市の香取神宮までつながっているという伝説が。

いったいどんな巨大サイズ?

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 鹿島神宮で、巨大鯰の頭を押さえているのだとすれば、その尾っぽを押さえている石も見ないと。
 ということで、千葉県香取神宮に足を伸ばしてみました。
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香取神宮の美しい社殿。
 

こちらは、香取神宮の要石です。

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鯰の絵のお守り。

参道に、鯰料理屋がありました。

その素材は、日本のマナマズではなく、キャットフィッシュということですが、

昔からこの地域で鯰が食されてきたことを伝えている風景ですね。 07.JPG03.JPG

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2016年をふりかえれば、真っ赤。

オバマ大統領広島方訪問に、カープの優勝。

偶然ですが、私も。 

PHP新書より拙著新刊が出ました。

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山下柚実 (やましたゆみ) 作家/五感生活研究所代表

東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。身体と社会との関わりに関心を持ち、
美容整形エイズ問題、五感などをテーマに取材。『ショーン横たわるエイズ・アクティビスト』で、第一回小学館ノンフィクション大賞優秀賞。
著書に、『五感生活術』(文春新書)、『<五感>再生へ』(岩波書店)、『都市の遺伝子』(NTT出版)、『給食の味はなぜ懐かしいのか?』(中公新書ラクレ)、『客はアートでやってくる』(東洋経済新報社)、『年中行事を五感で味わう』(岩波ジュニア新書)、『五感で楽しむまちづくり』(共著・学陽書房)他多数。
ウエブ上では、コラムを多数執筆。
「五感」をキーワードにした講演や教育人材研修、ワークショップなども手がける。
元放送大学非常勤講師、元環境省「感覚環境のまちづくり」検討委員、江戸川区景観審議会委員。

ウエブ http://www.yuzumi.com


五感の歳時記二十四節気「霜降」

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●五感の情報交差点

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「霜降」 

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そろそろ霜降。霧が降り、葉っぱが少しずつ紅葉し始める頃。

季節はどんどん、変化していきますね。

秋色が深くなるその前に……

まるで中世にタイムトリップしたような感覚を味わうことができる独特な茶庭を、

ぜひご紹介したいと思います。その名は「雲幽園」。またの名を「安楽庵」と言います。

三重県専修寺の中にある廻遊式のお庭。

お寺がある一身田の町は、全国的にも珍しく、寺内町の環濠が残っている町です。

寺内町というのは室町時代、真宗などの仏教寺院、商家などで形成された自立的・自治的集落のこと。

周囲を濠や土塁で囲まれていたのは、攻撃されても簡単には浸食されない防衛的な意味合いもあったとか。

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専修寺の中、濠が昔のままの風情で、残っています。

今の治水は水際をコンクリートなどで固めてしまいますが、このお寺の中で見る環濠はとても自然でなごむ。

日本画の中にある、土坡という描き方の様式・技法を思い起こさせる。

土坡は小高く盛り上がった地面の こと。

なだらかなカーブ。地面の起伏を表す柔らかなイメージが、お庭全体の雰囲気を作っています。

ここが中世のように感じる理由。

土坡に苔、そして竹藪、ゆるやかな曲線、しずけさ。

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いよいよここからが、お茶の世界。雀のお宿を訪ねる感じ。P1050154.JPG

門をくぐってしばらく行くと、大きな短冊状の石橋が。

二枚組み合わさっています。

そして釣瓶井戸。

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潜戸があり、内露地が始まります。
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待合も山居の中の雰囲気。
前には池と、茂る木々。州浜は石組みを使わず、自然のまま。
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いよいよ安楽庵のにじり口。
屋根は茅葺き。
踏み石の左手には、刀掛け。
武士の刀を預かる、昔はたいへん大きな役割のあった二重の棚。
今では単なる装飾になってしまったり、
気がつかないでお茶室に入ってしまったり。
でも、この安楽庵の刀掛けは、
とても存在感がありました
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正面から見ると、にじり口の上に窓が。
他の席と違って特殊な景観を見せているその理由について、重森三玲さんはこう書いています。
「躙口の上には、出廂を深く作ってあります……
深い躙口を、更に深く見せていますのは、一本の柱を入れて、
中央よりやや高く引木を入れて白壁として、下を吹抜としたことによって、この辺の景が明るくもありますが、同時によく見られますし、変化に富む構成が出たのです」
「この席の刀掛は、躙口の上の木連子窓と並べてありますために、非常に引き立って見られるのです。角になった白壁の空間が豊かですから、この刀掛はいっそうゆったりとした空間の中に大きな変化と調和を保っています」 (『茶室と庭』)
 
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 現代とは別世界のようなこの場所でのお茶会に、いつか参加してみたいものです
お茶室のみならず、アプローチの小道、曲がると見えてくる別の風景、ふわふわの苔、古い灯籠。
船着き場があったり、中之島があったり。
いくつもの違う仕掛けが、組み合わさってひとつの庭を造り出しています。
その変化に富んだ風景、遊び心、こめられた想い。
この庵の名前は、実は千利休の長男・道安と織田有楽斎からとって「安楽庵」。
茶室は畳が二畳半で、ウロコ板という板が半畳入って三畳だそうです。
席の中央に太鼓張りの襖があり、亭主と客人の間仕切りになっているとのこと。
道安は足が不自由だったので、茶道具を運ばせてから襖を開いてお点前を始めたそうです。
そのためこのお茶室を、道安囲と言うのだとか。
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山下柚実 (やましたゆみ) 作家/五感生活研究所代表

東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。身体と社会との関わりに関心を持ち、
美容整形エイズ問題、五感などをテーマに取材。『ショーン横たわるエイズ・アクティビスト』で、第一回小学館ノンフィクション大賞優秀賞。
著書に、『五感生活術』(文春新書)、『<五感>再生へ』(岩波書店)、『都市の遺伝子』(NTT出版)、『給食の味はなぜ懐かしいのか?』(中公新書ラクレ)、『客はアートでやってくる』(東洋経済新報社)、『年中行事を五感で味わう』(岩波ジュニア新書)、『五感で楽しむまちづくり』(共著・学陽書房)他多数。
ウエブ上では、コラムを多数執筆。
「五感」をキーワードにした講演や教育人材研修、ワークショップなども手がける。
元放送大学非常勤講師、元環境省「感覚環境のまちづくり」検討委員、江戸川区景観審議会委員。

ウエブ http://www.yuzumi.com


五感の生活 二十四節気「秋分」

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●五感生活 二十四節気「秋分
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「秋分」 

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 秋分の日を中心とした一週間が「秋彼岸」。38.JPG

収穫に感謝しつつ、祖先に思いを馳せ、花を手向ける頃になりました。

秋といえば、何色をイメージしますか。

紅葉の赤や黄色を思い浮かべる人も多いことでしょう。

でも、秋を表す色は白でもあるのです。

古代中国で生まれた五行思想・説とは、木・火・土・金・水という5元素が「影響を与え合い、その相克盛衰によって天地万物が変化し循環する」という考え方です。

これによれば、春の色は青。
夏の色は朱・赤。
秋の色は白。
冬の色は黒。

白い季節。松尾芭蕉はこんな句を詠みました。

石山の石より白し秋の風 

詠んだのは、福井県の那谷寺です。1341.JPG

石山のお寺(滋賀県・石山寺)にはたくさんの石があるけれど、さらにそれよりも清らかな、白い風が吹き抜ける那谷寺の境内。

そんな意味です。

秋の透明な気配が、肌にリアルに感じられる、優れた句ですね。

「奇石さまざまに、古松植ならべて、萱ぶきの小堂、岩の上に造りかけて、殊勝の土地なり」と、那谷寺の風景を芭蕉は「奥の細道」に記しています。

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元禄の頃に書かれた風景ですが、平成の今に訪ねてもそのまま当てはまる。時の流れの不思議を感じます。

そして、この那谷寺の名句を生み出したのが、滋賀県の石山寺。
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石山の石にたばしる霰かな 

芭蕉が生涯に作った句は980というけれど、その1割近くが滋賀県、大津のあたりで詠まれたものだと知って、感動。

「近江八景「石山の秋月」のシンボルとなっている月見亭は、瀬田川の清流を見下ろす 高台に設けられ、後白河天皇以下歴代天皇の玉座とされました。この月見亭の隣に 芭蕉庵があります。俳聖松尾芭蕉は、たびたびここに仮住まいをして、多くの句を残し ています」(石山寺ウエブサイト)

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今、33年に一度の御開扉。如意輪観音菩薩さまのお顔を拝見することができます。

   そして、石、岩の質感が印象的な、芭蕉の著名な句も忘れることができませんね。 

しずけさや岩に染み入る蝉の声 

「奥の細道」で訪ねた山形の立石寺で詠んだ句です。

石、岩、鉱物に対する独特な感性を芭蕉の中に感じます。

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8月、PHP新書より拙著新刊が出ました。

「広島大学は世界トップ100に入れるのか」

                      価格 ¥842(本体¥780)PHP研究所

PHP新書1059<br> 広島大学は世界トップ100に入れるのか

ベスト・エッセイ2016

『ベスト・エッセイ2016』日本文藝家協会編に、日本経済新聞に執筆したエッセイ 「歌の力、土地の記憶」が収録されました。編纂委員/角田光代,林 真理子,藤沢 周,町田 康,三浦しをん

本体2,000円+税

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山下柚実 (やましたゆみ) 作家/五感生活研究所代表

東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。身体と社会との関わりに関心を持ち、
美容整形エイズ問題、五感などをテーマに取材。『ショーン横たわるエイズ・アクティビスト』で、第一回小学館ノンフィクション大賞優秀賞。
著書に、『五感生活術』(文春新書)、『<五感>再生へ』(岩波書店)、『都市の遺伝子』(NTT出版)、『給食の味はなぜ懐かしいのか?』(中公新書ラクレ)、『客はアートでやってくる』(東洋経済新報社)、『年中行事を五感で味わう』(岩波ジュニア新書)、『五感で楽しむまちづくり』(共著・学陽書房)他多数。
ウエブ上では、コラムを多数執筆。
「五感」をキーワードにした講演や教育人材研修、ワークショップなども手がける。
元放送大学非常勤講師、元環境省「感覚環境のまちづくり」検討委員、江戸川区景観審議会委員。

ウエブ http://www.yuzumi.com


五感の歳時記 二十四節気「立秋」

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http://www.yuzumi.com

目 次             
●五感生活 二十四節気「立秋」 

●五感の情報交差点

〔五感の二十四節気〕**********

「立秋」 涼風が吹き始めて、初秋がはじまる 

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早いものですね。もう「立秋」です。

東京はまだまだ、酷暑の入り口といった雰囲気。アスファルトに強烈な太陽が照りつけている。

原爆投下から71年目の8月6日がやってきました。今年は5月のオバマ大統領の訪問もあって、より一層、注目を集めた広島

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原爆といえば、忘れられない映像があります。NHKが昨年のこの時期に放送したNHKスペシャル『きのこ雲の下で何が起きていたのか』。私自身、こんなエッセイを書きました。

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「原爆が投下され、3000度の熱で焼き尽くされた広島。街角で何が起こったのか。その地にいた人は、いったいどんな様子だったのか。熱で「壊滅」した直後の様子は、70年たった今も、多くの日本人にリアルに伝わってはいない。

「その時」を撮影した写真が、2枚残る。

世界中でたった2枚しかないモノクロ写真。爆弾投下から3時間、爆心地から2キロの「御幸橋」で撮られたものだという。

ちりちりに灼けてまるでアフロヘアのように膨らんだ髪の毛の、セーラー服の少女。破けたズボン、焦げた服で路上に横たわる人。座り込む人。50人ほどの人たちが映る。

その写真が、テレビ画面の中で動き出した。静止画が、動画になったのだ。黒く焦げた赤ん坊を抱いた少女の手が、前後に揺れ始め、「起きて起きて」と細い声が響く。

ヤケドをした脛や足首を繰り返しさするようにして、手で油を塗り込む人。両手を突き出して歩く人。熱で皮膚が裂けてめくれ指先からだらんと垂れ落ちている。茶色のぞうきんを指先からぶら下げているように見える。

写真を見た時は、「ずいぶん昔のこと」のように古めかしく感じた。遠い時のむこうに見えた。しかし、それが動き出すとたちまち目が吸い付けられ、画面に釘付けになった。

「今目の前で起こっていること」のように生々しくなった。人の「気配」を感じた。もし自分の皮膚だったら、と思うと、「激しい痛み」が伝わってくるようだ。

この「動画」は、いったいどのように作られたのか。

NHKのスタッフが2枚のモノクロ写真をもとにして、御幸橋にいた人、そこを通った31人の生存者を尋ね歩き、目撃した光景について証言を聞き取ったという。写真はデジタル技術で不鮮明な部分をクリアに加工された上、皮膚科医や時代考証の専門家による検証を踏まえ、皮膚の色などを追加し、フランス公共放送F5との国際共同制作によって写真をベースとした精巧なCGとなった。

色彩が加わり動きが加わると、風景は突如、リアルになる。たとえ擬似体験ではあっても、見ている人の皮膚感覚を通して被爆地の状況が伝わる。「動画」の力はとてつもなく大きい。そう実感した(中略)

焼けただれた皮膚、自決、遺体といった映像は、戦争のありのままを伝える「不都合な記録」であり、時の経過の中で次第に人目に触れないよう編集されたり隠されたりしてきたのだろう。しかし、この8月に放送されたNスペの映像は、はっきりと語っていた。
「皮膚感覚に訴える要素をとってしまったら、戦争のリアルは伝わらない」と。目をそむけたくなるような現実は、しかし実際に起こったことだ、と。

原爆直後の御幸橋の写真に映っていたセーラー服の少女は、生き残って高齢になっていた。

「私だけ残ったのは、伝えるためですかね。だから生かされているんですかね、分かりません」

女性の言葉が耳に残る。戦争を伝える作業はまだまだ達成されていない。この8月に見たいくつかの映像が、そう語っていた。」              (出典「NEWSポストセブン」2015.8.17)」

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 私自身も、今年は広島と縁の深い年になりました。
広島大学の取材を重ね、新書を刊行することになったからです。
被爆地・ヒロシマだからこそ発することができる言葉、声、想い。
それを「平和科目」として必修科目・授業化している広大。
世界の中でまさに被爆地という土地の運命を背負った大学。その役割を力強く、果たしていって欲しい。
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8月10日、PHP新書より拙著新刊が出ます。

「広島大学は世界トップ100に入れるのか」

                      価格 ¥842(本体¥780)PHP研究所

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ベスト・エッセイ2016

『ベスト・エッセイ2016』日本文藝家協会編に、日本経済新聞に執筆したエッセイ 「歌の力、土地の記憶」が収録されました。編纂委員/角田光代,林 真理子,藤沢 周,町田 康,三浦しをん

本体2,000円+税

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山下柚実 (やましたゆみ) 作家/五感生活研究所代表

東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。身体と社会との関わりに関心を持ち、
美容整形エイズ問題、五感などをテーマに取材。『ショーン横たわるエイズ・アクティビスト』で、第一回小学館ノンフィクション大賞優秀賞。
著書に、『五感生活術』(文春新書)、『<五感>再生へ』(岩波書店)、『都市の遺伝子』(NTT出版)、『給食の味はなぜ懐かしいのか?』(中公新書ラクレ)、『客はアートでやってくる』(東洋経済新報社)、『年中行事を五感で味わう』(岩波ジュニア新書)、『五感で楽しむまちづくり』(共著・学陽書房)他多数。
ウエブ上では、コラムを多数執筆。
「五感」をキーワードにした講演や教育人材研修、ワークショップなども手がける。
元放送大学非常勤講師、元環境省「感覚環境のまちづくり」検討委員、江戸川区景観審議会委員。

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五感生活 二十四節気「小暑」


 

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目 次             
●五感生活 二十四節気「小暑」 

●五感の情報交差点

〔五感の二十四節気〕**********

「小暑」 蓮はじめて咲く 

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少し早いのですが、なんとなく蒸し蒸し、湿度の高い夕方。

7月7日の七夕に思いを馳せています。

七夕といえば、織り姫と彦星のロマンチックなお話。でも、そもそもは……

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乞巧奠(きっこうでん)とは
7月7日 裁縫の仕事を司る織姫星にあやかり、機織りや裁縫が上達するようにと祈る中国の風習。 庭先の祭壇に針などを供えて、祈りをささげたそうです。
その「織り姫」さまたちが日本へやってきて住んだ土地。
それが大阪・池田の呉服神社のあるあたりです。
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応神天皇の時代、呉服(クレハトリ)・穴織(アヤハトリ)という姉妹が、ここ池田にやってきて、

機織・栽縫の技術を伝えたとされています。

絹布類を指す「呉服(ごふく)」はここが発祥の地。

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以前、池田の呉服神社を訪ねたことを思い出しながら、書いたエッセイです--

「思いもよらない場所で、能に遭遇することがある。

大阪・池田市を訪ねた時のこと。仕事を終えてふと地図を見ると、「呉服神社」の文字が目に飛び込んできた。さっそく足を伸ばしてみた。

境内を訪ねると、織女を祭っている神社であることが判明した。

『日本書紀』によれば呉の国から呉織(くれはとり)、漢織(あやはとり)という織女がこの地にやってきたという。ふと、目に入ったのは小さな木の看板だ。能「呉服(くれは)」の舞台がここであると解説する文面が……。

織物が日本へと伝わってきた最初の場所。着物を呉服と呼ぶ歴史的な背景。そして能の物語。一瞬のうちに様々なことが結びついていく。スリリングな瞬間だった。

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私は、学生時代から舞台空間が大好きだった。役者の体から直接響く声、空気の振動、一瞬の場面転換。舞台にしかない研ぎ澄まされた緊張感とスリルに魅入られてきた。執筆の仕事に入ってからも、能、文楽、歌舞伎、アングラ、見せ物小屋からモダンダンスまでジャンルを横断しつつ舞台に足を運んだ。

そんなある日、祖母が残した一棹の桐箪笥が私の元に届いた。着物に興味のない母が手を触れないままに30年以上が経過した、それはまるでタイムカプセル。時空を超えてやってきた桐箪笥。

観音開きの扉をそっと引くと、中から正倉院文様の帯が出てきた。鮮やかな色彩、ペルシャが起源という獅子や鳳凰、唐草などが華やかに織り出されたエキゾチックな柄。躍動的なデザイン。身につけたいと思った。でも、着物姿でいったいどこへ出かければいいのだろう。

能楽堂が浮かんだ。それからは祖母の着物を身につけて能を見ることが楽しみの一つになった。そしてその日、桐箪笥に導かれるようにして私は呉服神社に出会ったのだった。

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謡曲「呉服」は、天皇に仕える臣下が呉服の里を通りかかり、機を織り糸をつむぐ女たちに出会う物語。聞けば、応神天皇の御衣を織った女たちだと言う。そしていよいよ呉服の霊が姿を現し、世を言祝ぎ舞を舞ってみせる優雅な内容だ。小道具の作り物に、鮮やかな色の糸や織機も使われるという。いつの日か、祖母の着物を身につけて、能「呉服」を見てみたい、という思いが募った。

旅の途上、何気なく立ち寄った場所で能に出会ってきた。

「鞍馬天狗」「吉野静」「六浦」「弱法師」……

謡蹟を伝える立て看板に、意図せず遭遇した。あの物語がこの地で生まれたかと思うと、時代をワープするような不思議な気持ちに包まれる。能楽堂という屋内で楽しんできた能に、今度は空の下で遭遇する至福。

旅という日常の延長線上での能との出会いが、また次の能舞台へと私を誘う。 だから私にとって能は、決して過去の物語ではない。具体的な場所とつながり、現在と過去との間で往還運動を繰り返している。(「『呉服』に誘われて」『観世』2013.12)

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ベスト・エッセイ2016

『ベスト・エッセイ2016』日本文藝家協会編に、

日本経済新聞に執筆したエッセイ 「歌の力、土地の記憶」が収録されました。

編纂委員/角田光代,林 真理子,藤沢 周,町田 康,三浦しをん

本体2,000円+税


 

*取材を加えた増補版文庫が出ました。

[増補版]なぜ関西ローカル大学「近大」が、志願者数日本一になったのか

http://www.kobunsha.com/shelf/book/isbn/9784334786922

 [増補版]なぜ関西のローカル大学「近大」が、志願者数日本一になったのか

「世界初のマグロの完全養殖」と「志願者数日本一」という2つの快挙を成し遂げた裏側には、周到な準備と徹底した改革があった――少子化時代におけるビジネス教育のヒントが詰まった著者渾身のノンフィクション、待望の文庫化。

2016年4月12日発売
定価(本体660円+税)
ISBN 978-4-334-78692-2
知恵の森文庫

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山下柚実 (やましたゆみ) 作家/五感生活研究所代表

東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。身体と社会との関わりに関心を持ち、
美容整形エイズ問題、五感などをテーマに取材。『ショーン横たわるエイズ・アクティビスト』で、第一回小学館ノンフィクション大賞優秀賞。
著書に、『五感生活術』(文春新書)、『<五感>再生へ』(岩波書店)、『都市の遺伝子』(NTT出版)、『給食の味はなぜ懐かしいのか?』(中公新書ラクレ)、『客はアートでやってくる』(東洋経済新報社)、『年中行事を五感で味わう』(岩波ジュニア新書)、『五感で楽しむまちづくり』(共著・学陽書房)他多数。
ウエブ上では、コラムを多数執筆。
「五感」をキーワードにした講演や教育人材研修、ワークショップなども手がける。
元放送大学非常勤講師、元環境省「感覚環境のまちづくり」検討委員、江戸川区景観審議会委員。

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五感生活 二十四節気「清明」 


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目 次             
●五感生活 二十四節気「清明」 

●五感の情報交差点

〔五感の二十四節気〕**********

「清明」 ツバメが飛来し、雨のあとに虹がかかる頃

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忘れずにいたい。5年目を迎えた3.11。246.JPG

国立能楽堂のパンフレット(2016年3月号)の冒頭随筆に、宮城・松島~塩竃神社を訪ねたことを書きました。

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 『融』へ、煙に誘われて

 あれは東日本大震災から一年余りが経ぎた頃。取材仕事で宮城県仙台市郊外を訪ねた。仕事を終えて東京に戻る前に、私は海辺へと向かった。
 仙台市からほど近い松島湾は、他の沿岸地域に比べ津波被害が少なかった、という。

 沖にある260の島々が互いに津波の力を打ち消し合い、いわば天然の防潮堤の役割を果たした、と聞いた。神の棲む島。古来から歌枕として詠われてきた松島。何か神秘的な力が潜んでいるのか。怖いような神々しいような気持ちで、私は島巡りの観光船に乗り込んだ。266.JPG

 千貫島、鐘島、仁王島、……一つ一つ形が違う島の影、よぎるカモメの翼を船窓から眺めた。


 観光船は松島の港から出て、別の港へと向かっていった。


 「塩釜」港だ。
 船を下りた私の前に、想像を絶する風景が広がっていた。津波のエネルギーによって無惨に抉り取られ、更地になった区画。言葉もなくただ町を歩き回り、私は小高い丘の上の神社にたどりついた。
 塩竃神社の境内に立つと、眼下にさっと景色が開けた。

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松島湾、塩釜湾……絶景に息を呑む。長い年月、海とともに生きてきた人々のことに思いを馳せずにいられなかった。

 神社の由来は塩土老翁神が製塩を教えたことに始まるという。末社の御釜神社では今も海水を煮詰める古来の製法で藻塩を焼く神事が行われているそうだ。
 塩焼きの煙は今も空へ向かって静かに膨らんでいることだろう。

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 私は、まるで生き物のような煙の姿を想像すると同時に、「煙のデザイン」を思い出していた。黒棗の地に金蒔絵で鮮やかに描き出された図柄のことを。
 茶の湯で出会った古典的な意匠には、たしかに「塩釜」という名前が付けられていた。
 そうか。茶の湯の道具に描かれたあの「煙」とは、ここ塩釜の地で藻塩を焼く煙だったのか。優美な蒔絵の図柄と土地の名前。二つが結びついた。それは不思議な感覚だった。
 塩。人にとって必要不可欠で大事な命のもと。その塩を作る方法を伝えてくれた神様に捧げる感謝。「塩釜」という図案に込められた祈りの姿。立ち上る煙は生命の証し…。


 だが、もう一つ、謎があった。
 東北のこの地で焼かれた藻塩の煙が、いったいなぜ、遠く離れた華やかな都で人々の心を惹きつけ、茶の湯の道具の中に今も優美な姿で描かれ続けているのだろう。そこにどんな深いわけがあるのだろう。
 私は煙に誘われるようにして国立能楽堂の『融』(平成二十七年六月)の舞台に足を運んだ。
 『融』は京都の六条河原院が舞台となる謡曲だ。旅僧の前に、潮汲みの老人が現れて語り出す。
「ここは昔、栄華を誇った源融大臣の邸宅でした。庭は陸奥の塩釜をそっくり摸して作り、わざわざ海水を運ばせ塩を焼かせては、風情を楽しみました。しかし大臣無き今、ここはひどく荒れ果ててしまいました」と老人はしみじみ涙を落とす。「君まさで煙絶えにし塩釜の うら淋しくも見え渡るかな」という紀貫之の歌を口にしつつ。


 後半、融の大臣の霊が現れ、きらびやかに舞う。かつての河原院の栄華の様子が、廃墟にいきいきとよみがえる――能舞台の上に、煙まで立ち上っていくような気がした。
 煙は塩が生まれる徴しであると同時に、命があることの証し。東北で訪ねた塩竃神社、能の『融』。その二つの重なりが、次の訪問先を指し示していた。3.JPG


 

『融』を見終えてから数ヶ月後。
 融が住んだ河原院の旧蹟と伝承されている庭へ向かった。京都・東本願寺渉成園の中に塩を焚く横穴のような「塩釜」や「塩釜の手水鉢」、「源融ゆかりの塔」がひっそりと待っていた。この目で形や色を確かめてやっと、私の「煙」をめぐる旅は一段落したのだった。
 失ってしまったものを見つめ、ありし風景を浮かべる。
 現れては消えていく命のはかなさに、思いを馳せる。
 喪失の哀しさとよみがえる奇跡とを、想う。
 六00年という時空を超えて「今」とたしかに響きあっている能。私にとって『融』は能楽堂の中だけに留まるものではなかった。
  この三月、東日本大震災から五年の節目を迎える。
 どうか、新たな「煙」が復興の地から幾筋も膨らみ、立ち上りますように。

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*2014年末に刊行し、話題を呼んだ拙著『なぜ関西のローカル大学「近大」が、志願者数日本一になったのか』(光文社)が、増補版となって文庫化されました。2016年4月12日発売。

 

*編集制作に参加した本が、刊行されました。

今注目の小学校教諭・沼田晶弘さんの本です。中央公論新社。

『ぬまっちのクラスが世界一の理由』

アメリカで培ったチームビルディング法を駆使し、MCとひな壇の関係性を授業に活用したりとユニークな教育法でやる気を引き出す現場を詳細に報告。

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山下柚実 (やましたゆみ) 作家/五感生活研究所代表

東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。身体と社会との関わりに関心を持ち、
美容整形エイズ問題、五感などをテーマに取材。『ショーン横たわるエイズ・アクティビスト』で、第一回小学館ノンフィクション大賞優秀賞。
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ウエブ上では、コラムを多数執筆。
「五感」をキーワードにした講演や教育人材研修、ワークショップなども手がける。
元放送大学非常勤講師、元環境省「感覚環境のまちづくり」検討委員、江戸川区景観審議会委員。


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